民間学童の「選び方」ガイド|協会公式「GOOD民間学童保育宣言」に基づく6つの視点

「施設によって特色が豊かすぎて、何を基準に比べれば良いのか分からない」 「Webサイトやパンフレットだけでは、本当に信頼できる施設なのか判断が難しい」……

民間学童は、英語やプログラミングといった特色ある学びの機会を提供する施設から、送迎や預かり時間の柔軟性を重視する施設まで、実に多彩な選択肢があります。その多様性こそが民間学童の魅力ですが、同時に、保護者の皆さまにとっては「選び方の難しさ」にも繋がっているかもしれません。

そこでこの記事では、数ある選択肢の中からご家庭とお子さまに最適な施設を見つけていただくため、私たち一般社団法人民間学童保育協会が「安全で安心できる放課後の居場所」づくりのために定めた指針、「GOOD民間学童保育宣言」をご紹介します。

この宣言は、協会が「良い民間学童保育」の基準として定めたものです。 この記事を読めば、保護者の皆さまが施設を見学・検討する際に「何をチェックすれば良いか」という具体的な視点が明確になります。

なぜ「GOOD民間学童保育宣言」が選び方の基準になるのか?

「GOOD民間学童保育宣言」とは、私たち一般社団法人民間学童保育協会が、すべての子どもたちに「安全で安心できる放課後の居場所」と「多様な学びの機会」を提供するために行動指針として定めた、協会としての「目指すべき姿」です。

宣言には、保護者の皆さまが安心して「多様な働き方」を選べる環境づくりを目指し、協会が重視する「預かりサービス」や「教育サービス」「安全管理」といった基準が具体的に示されています。したがって、保護者の皆さまにとっては、「施設を選ぶ際に何をチェックすれば良いか」を参照するのに役立ちます

次の章からは、この「GOOD民間学童保育宣言」の具体的な6つの項目に沿って、保護者の皆さまが施設を見学・検討する際に役立つ「6つの視点」として、わかりやすく解説していきます。

宣言から読み解く「良い民間学童」を見極める6つの視点

「GOOD民間学童保育宣言」は、6つの具体的な行動指針から成り立っています。 これらは、協会が目指す「良い学童保育」の姿であると同時に、保護者の皆さまが施設を選ぶ際の「チェックリスト」として活用できるものです。

一つひとつ具体的に解説していきます。


視点1:ご家庭の働き方に合う「預かりサービス」か

民間学童が持つ最大の強みの一つが、まさにこの「預かりサービス」の柔軟性です。

既存の記事「小1の壁」でも触れた通り、「小1の壁」の大きな原因の一つは、保育園時代と比べて預かり時間が短くなるなど、お子さまの生活リズムと保護者の就労スケジュールに「ズレ」が生じてしまうことです。

民間学童は、その「ズレ」を解消し、保護者の皆さまが働き方を変えることなくキャリアを継続できるよう、多様なニーズに応える「受け皿」として機能することを目指しています。

ご家庭のライフスタイルや、共働き家庭として譲れない軸と合致しているか、以下のポイントで具体的に確認してみましょう。

【チェックポイント】
  • 夜間などの長時間預かりに対応しているか
    保護者の方の通勤時間や繁忙期の残業、急な会議などを考慮すると、「18時以降」の預かりが不可欠となるご家庭も少なくありません。民間学童では、19時、20時、施設によっては21時頃まで対応している場合もあり、保護者の就労状況に寄り添った柔軟な延長預かりが行われています。「最大で何時まで預かってもらえるのか」は、ご家庭の働き方を維持する上で非常に重要なチェックポイントです。


  • 長期休み(夏休みなど)の預かり体制はどうか
    お子さまが最も長く過ごすのは、夏休み・冬休み・春休みといった長期休暇の期間です。この時期は給食がなく、一日中過ごせる場所の確保が共働き家庭にとって大きな課題となります。多くの民間学童では、こうした長期休暇中も、朝から夜まで一日を通した預かりを実施しています。


  • スポット(一時利用)など、柔軟な使い方ができるか
    「普段は別の方法で過ごしているけれど、保護者の出張や通院、学校の振替休日などで“この日だけ預けたい”」といったニーズも少なくありません。施設によっては、月極利用だけでなく、こうしたスポットでの一時利用(都度利用)を受け入れている場合もあります。いざという時に頼れる場所として利用できるかどうかは、保護者にとって大切なポイントです。


  • 送迎サービス(学校や自宅)の有無、範囲はニーズと合っているか
    小学校低学年のお子さまが、下校後に一人で施設まで移動することに不安を感じる保護者は少なくありません。民間学童の大きな特色として、多くの施設で「送迎サービス」が用意されています。具体的には、「小学校の校門(または指定場所)までスタッフがお迎えに行く」「施設からご自宅(または指定場所)まで送迎バスで送る」といったサポートです。


  • アプリ等での予約や連絡はスムーズか
    日々の利便性も、忙しい保護者にとっては重要なポイントです。近年はデジタル化が進み、急な残業による延長依頼や、お子さまの欠席・遅刻連絡などを専用のアプリやシステムでスムーズに行える施設も増えています。また、お子さまの入退室状況がリアルタイムで保護者のスマートフォンに通知される仕組みは、共働き家庭にとって大きな安心材料です。見学の際には、こうした日々の運用面の利便性もあわせて確認しておくとよいでしょう。

視点2:子どもの未来を育む「教育サービス」があるか

小学校の放課後の時間は、一日の中でも長く、貴重な時間です。

近年、その時間を『安全な預かり』の場であると同時に、『学びと成長の場』としてとらえる施設が増えています。

各施設がどのような「教育サービス」を考え、提供しているかは、その民間学童の特色が最も表れる部分です。以下の視点で、ご家庭の方針やお子さまの興味と合っているかを確認しましょう。

【チェックポイント】
  • 「理念」に共感できるか
    すべての教育活動の土台となるのが、その施設が掲げる「理念」や「教育方針」です。 「なぜこのプログラムを提供するのか」「放課後の時間を通じて、子どもたちにどんな人間に育ってほしいと願っているのか」——理念がご家庭の教育方針と近いほど、施設と家庭が同じ方向を向いてお子さまの成長をサポートすることができます。


  • 特色ある教育活動は用意されているか
    多くの民間学童で、その施設ならではの特色ある教育活動が提供されています。 (例:英語、算数・国語などの学習サポート、運動、アート、そろばん、ダンス、音楽、知育、科学実験、プログラミングなど) これらは、お子さまが「新しい好き」に出会うきっかけになります。どのようなプログラムがあり、それはお子さまの興味・関心と合致しそうかをぜひ確認してください。


  • 外遊び・自然体験の機会があるか
    日々のプログラムだけでなく、長期休暇中などに実施される特別活動も重要なチェックポイントです。「サマースクール」のような季節イベントなどで、仲間と協力して何かを成し遂げたり、自然の中で思いきり体を動かしたりすることは、お子さまのかけがえのない思い出となります。

視点3:安心して任せられる「人材(スタッフ)」か

お子さまと直接関わり、施設の雰囲気そのものを作り上げているのは、言うまでもなく「人材(スタッフ)」です。

お子さまにとって、民間学童は「第二のわが家」とも言える大切な「居場所」となります。その居場所が安心できるものになるかどうかは、日々接する大人の存在に大きく左右されます。

見学や体験に訪れた際には、ぜひ以下の視点で「人」に注目してみてください。

【チェックポイント】
  • 十分なスタッフが配置されているか
    これはお子さまの安全を守るうえでの大前提です。「宣言」にも「十分な人材配置」と明記されている通り、子どもの人数に対してスタッフが適切に配置されているかは、まず確認したい点です。スタッフが子どもたちの小さなサインや心の動きに気づき、寄り添えるだけの体制的なゆとりがあるかどうか――そこに、その学童が“安心できる居場所”であるかどうかが表れます。


  • スタッフの子どもへの接し方は温かいか
    スタッフの専門性に加えて、「人柄」や「子どもへの向き合い方」も大切です。子どもの目線に合わせて話を聞いているか。子どもの気持ちを受け止める温かい言葉遣いをしているか。子どもたちがスタッフに親しみや信頼感をもって接しているか、など、スタッフの方々の接し方にはぜひ目を向けてみましょう。


  • 研修による、スタッフの質を担保する仕組みがあるか
    スタッフの質を支えているのは、日々の研修や学びの仕組みです。多くの施設では、運営会社がスタッフ向けの研修や学びの機会を設けています。見学の際には、「スタッフの皆さんはどのような研修を受けていますか?」といった質問をしてみるのもおすすめです。研修体制がしっかりしている施設は、それだけ「人材」を大切にしている証でもあります。

視点4:子どもの命を守る「リスク管理」体制は万全か

どれほど優れた教育サービスや温かいスタッフが揃っていても、すべては「お子さまの安全・安心」という土台の上に成り立っています。

大切なお子さまの命と健康を預かる施設として、リスク管理体制が整っていることは、保護者にとって何よりも重要で、決して譲れない項目です。

アレルギー対応や災害時の避難体制、送迎時の安全確認など、想定されるさまざまなリスクに対して、どのような備えや対応ルールを整えているか――その具体性と日常的な運用の丁寧さが、施設の信頼性を左右します。

見学や面談の際には、次のような点を確認してみるとよいでしょう。

【チェックポイント】
  • 食物アレルギーへの対応(おやつ・食事提供時)は明確か
    おやつや食事を提供する施設の場合、アレルギー対応は、お子さまの命に直結する重要な項目です。入会時にアレルギー情報をどのようにヒアリングし、スタッフ間で共有する仕組みがあるかを確認してみましょう。また、おやつや食事の提供時にアレルゲンの「誤食」を防ぐための対策(例:調理器具や食器の分離、複数スタッフによる確認など)が検討・実施されているかも大切なポイントです。


  • 施設内は清潔で、衛生管理(感染症対策など)が行き届いているか
    お子さまが集団で長時間過ごす場所として、日々の衛生管理は健康維持の基本です。見学時には、施設全体(特にトイレや手洗い場、食事スペース)が清潔に保たれているかをチェックしましょう。また、手洗いやうがい、手指消毒などの習慣づけが行われているか、インフルエンザや感染性胃腸炎の流行期に換気・消毒・体調不良児への対応などが検討されているかも見ておくと安心です。


  • 災害時や不審者侵入時の避難経路・連絡フローは明確か
    地震や火災、不審者の侵入など、非常事態はいつ起こるか分かりません。いざという時に慌てず、安全に避難・引き渡しが行える体制が整っているかをチェックしましょう。例えば、避難経路図が掲示され、定期的な避難訓練(火災・地震など)が実施・検討されているか、などです。

視点5:子どもがのびのび過ごせる「環境」か

お子さまは、小学校が終わった後の長い時間をその施設で過ごすことになります。だからこそ、安全管理が行き届いていることはもちろん、お子さまが心身ともにリラックスし、自分らしく「のびのびと」過ごせるための配慮がされているか。ぜひ、保護者の方ご自身の目でも確認してみてください。

【チェックポイント】
  • 十分な広さや、快適な環境が確保されているか
    お子さまが毎日過ごす場所として、まず確認したいのは「広さ」と「快適さ」です。子どもたちの人数に対して十分なスペースがあり清潔に保たれ、道具や本がわかりやすく整理されているかどうか。子どもたちが安心して過ごせるかに関わります。


  • 子どもがのびのび過ごせる環境か
    長時間を過ごす場所だからこそ、施設の広さや設備といったハード面だけでなく、過ごし方のスケジュールや活動内容など、日々の運営面にも目を向けたいところです。お子さまが落ち着いて過ごせる工夫や、気持ちを切り替えながらのびのびと過ごせる仕組みがあるかどうかを、柔軟な視点で見てみるとよいでしょう。

視点6:子どもの「人権」が守られる仕組みがあるか

お子さまの「身体の安全」と同じように、「心の安全」や「尊厳」を守るための体制づくりも欠かせません。

子どもに対して暴力的な言動や威圧的な指導が行われないことはもちろん、職員一人ひとりが人権意識を持ち、誠実に関わるための仕組みを整えることが重要です。

多くの施設では、職員の行動基準を定めたり、倫理やハラスメント防止に関する研修を実施したりといった取り組みを進めています。

また、外部相談窓口の設置や、職員間での定期的な振り返り・情報共有など、日常的にチェック機能を働かせる仕組みを持つことも理想的です。

保護者としては、見学や面談の際に、こうした取り組みがどのように行われているかをたずねてみるとよいでしょう。

「職員の方々が安心して働けるような行動ルールや研修はありますか?」

「子どもへの対応で困ったとき、どのように相談・共有する仕組みがありますか?」

といった質問を通じて、その施設や運営会社が“人を育てる仕組み”をどれだけ重視しているかが見えてきます。

ご家庭に最適な「第二のわが家」を見つけるために

ここまで、民間学童保育を選ぶ際の6つの視点についてご紹介してきました。

民間学童には、施設ごとにさまざまな特色や魅力があります。

それは、保護者やお子さま一人ひとりの多様なニーズに応えられるという、民間ならではの大きな強みです。

一方で、選択肢が多いからこそ「何を基準に選べばよいのか」と迷うこともあるでしょう。

今回ご紹介した内容が、そんなときに安心して判断するためのヒントになれば幸いです。

預かり、教育、人材、安全、環境、そして人権。

これら6つの視点を意識しながら、ぜひ親子で見学や体験に足を運んでみてください。

お子さまが笑顔で過ごせる、そして保護者の皆さまが心から信頼できる——

そんな「第二のわが家」と出会えることを願っています。


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